今日の日経デジタルマーケティングの記事を見ていて、気になる内容を見つけました。
内容は以下の通り。
今年9月、Twitter上に値下げリクエストと「西友」の文字が数多く飛び交った。その数、1万数千件。「みんなの声で値下げ中!」をキャッチフレーズに西友が実施した、Twitter連動の値下げリクエスト企画「サゲリク」だ。要望のあった商品を値下げしたことで、西友の10月の売上高は前年比大幅増収となった。
もう少し詳しく見ると、こう言う内容です。
**********************************************************************************************************************
9月1日から21日まで、「サゲリク」キャンペーンサイト上で商品データベースの中から値下げして ほしい商品を検索し、値下げリクエストを出してもらう。対象商品は、生鮮・酒・ベビーフード・健康食品 などを除く食料品1万点以上。 リクエストにはTwitterアカウントが必要で、商品を選ぶと冒頭のような商品名入りのリクエスト文が投稿フォームに自動的に表れる。そして、値下げしてほしい理由を追記して投稿してもらう。値下げリクエストが100票に達した商品はリクエストが締め切られ、西友側で値下げの検討に入りその中から値下げ商品100品目を決定し、随時発表。10月13日から11月9日までの4週間にわたって、西友の全店舗で値下げ販売した。 投票で「自分ごと」にして購入意欲を増す! こうして投票した商品が票を伸ばして値下げが確定すると、「自分が値下げに関与した商品」とし頭に足を運びたくなるもの。値下げ要望という、ある意味わがままなリクエストをすることで、投票者とって西友が「自分ごと」になるのだ。 日本チェーンストア協会が発表する月次販売統計では震災以後、特に食料品で前年比マイナスが続いている。そんな中、値下げリクエストに基づいて100品目を値下げ販売した西友は、10月の売上高が前年比2ケタ%増となった模様だ。**********************************************************************************************************************
これを見て感じたのは、流通側は売上げが上がり良かったでしょうが、そこで票を得た商品は、人気のある商品=ブランド力のある商品と言う傾向です。
ブランド力があると言う事は、基本的に競合他社に比べてブランドピラミッド的に上位にあるブランドで、エバンジェリストが存在する価値あるブランドな訳です。
つまり高くても支持すると言う事です。
しかし、人間の心理上、上記の様なキャンペーンが行われると、例えそのブランドのエバンジェリストであったとしても、票を入れる可能性は大きい訳です。
例え大好きなブランドでも安くなるなら望む所が人間の心理でしょう。
そこをくすぐって、ソーシャル上で投票を募った戦略は凄いですね。
普段なかなか安売りに出にくい商品程、票が集まる可能性は大きいです。
しかもソーシャルメディアを使っていますから、その声が丸見えです。
西友は、前年比2ケタ%増になるでしょう。
しかし企業側から見て、ブランド力を時間をかけて構築して来た所ほど、こんなに悔しい戦略はないです。
エンゲージメントが成立しているのに、それを心理作戦で断ち切ってしまったからです。
こんな事が流通側で、ソーシャルメディアを使って盛んに行われると、企業及びそのブランドは、そのポジショニングを奪われてしまいます。
企業がNOと言おうとしても、投票がソーシャルメディアで行われているので、なかなか言いにくい状況に追い込まれます。
流通側のソーシャルメディアを使った戦略に、まんまとやられてしまった感があります。